終業式が終わるのと同時に、千夜先輩がオカシクなった。時雨のことを「お兄様」と呼び、自分を”椿妃”と名乗っている。特徴的な深紅の瞳は色を失い、水のような青色へ変わってしまっていた。
時雨は戦時中のアルバムに残された千夜そっくりの少女椿妃の写真を発見する。確かに椿妃は、祖父の妹として実在していた。
だが、戦時中、彼女は命を落としていた。兄への執着心が幽霊となり、千夜に憑依したのだ。
椿妃は時雨の前世が兄で……そして、自分と巡り会うためにこの世に生まれ変わったと言った。
彼女の記憶をなぞるように、時雨は前世の記憶を思い出しはじめる。それは血塗られた、おぞましい過去だ。
椿妃との出会いを引き金に、街に異変が起こり始めた。戦時中に焼かれた焼死体が起き上がり、椿妃を求めて歩きはじめる。
どうして椿妃は死んだのか? 前世の二人に、何があったのか? すべての結末を確認するため、時雨は自身に備わる力-noesis-を使用する。
時雨は前世の記憶を取り戻し、千夜を目覚めさせることができるのか――。
普通の日常を手にいれるため、時雨は命を担保に時間の巻き戻しを行う。
再構成された世界、その中で当たり前の生活を手にいれるはずだった。
だが、時雨の前に現れた謎の少女、天鳥那由多(あまどりなゆた)により、時間の巻き戻しを阻止されたことを知る。
無差別に殺戮を繰り返し、その死体画像を時雨に送り続ける那由多。
常軌を逸した彼女を止めるため、時雨と千夜は協力して戦うことを誓うが——。
鏡の中に閉じ込められた一夜、余命幾ばくもない憂姫、そして死後の世界に時雨を連れて行こうとするこよみ。
それぞれの欲望が渦巻き、心が交錯していく、記憶の物語第二弾。
普通の高校2年生、鹿倉時雨(ししくらしぐれ)には秘密があった。
幼少の頃とある事件により受け取った、この世のものではない”影”を捉えることのできる呪われた目だ。
気味の悪い”影”を見ないよう、極力外界との接触を避けていた時雨の前に、死人の声が聞こえる不思議な少女、
鷹白千夜(たかしろちや)が現れる。
だが出会いを噛みしめる暇もないまま、二人は校内で起こる不気味な自殺事件に巻きこまれてしまう。
そこから紡がれるのは、二人が遠い過去に置き去った、記憶の物語——。